家庭のことは、外から見てもわからない「ミセス・ダウト」

かなり昔にロードショーか何かで観たミセス・ダウト。内容が良かったか覚えてないけど印象だけはずっと残っていて、今回久しぶりにちゃんと観直しました。
子どもの頃、ロビン・ウィリアムズっていうと『ジュマンジ』とか『フック』の印象が強かったのですが、大人になってから観ると、この映画の良さがちょっと違うところにあるように思えました。
映画は、主人公のダニエルが家族との時間を失っていくところから始まります。自分の好きなことばかり優先していたツケがまわって、離婚。子どもと会えるのは週に1回だけ。その状況をどうにかするために、彼は女装して「ミセス・ダウトファイア」という家政婦になりすまします。
この設定だけ聞くとコメディなんですが、観ていると結構切ないです。
ふざけた変装の裏にある「子どもと一緒にいたい」っていう気持ちは、すごくまっすぐで、どこか痛々しい。
ミセス・ダウトとして家に入り込んだあとの展開もテンポが良くて面白いのですが、観ていて一番印象に残ったのは、ダニエルが少しずつ父親としての責任に目覚めていくところです。最初は「会いたいから無理やり」だったのが、次第に「家族のために何ができるか」に変わっていく。それが自然に描かれていて、気づいたら応援してしまっていました。
終盤、正体がバレて裁判でも負けて、ますます子どもと会えなくなってしまうんですが、そこからの彼の行動がとても良かったです。ラストシーンでのテレビ番組の語りは、子ども向けに話しているようで、大人にも刺さる内容で。派手な演出があるわけじゃないけど、じんわりと心に残る感じでした。
コメディだけど家族ドラマで、笑えて、ちょっと泣けて、観終わった後に「家族って何だろう」って考えたくなる映画です。